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  • 2014.09.06 Saturday
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あくる日の司書長

宣言通り今日中に後編アップです。
こちらも若干の手直しをしてありますが、基本某所投下物と同じっす。
はやて&リインがちょっと不憫な目にあってますが、僕ははやて嬢も好きですよ?
ただなんと言いますか、僕の中ではやてってこんな役回りになっちゃうんですよね(苦笑。







「ファータ、その服は確か昨日はやてから贈られたものですか?」
「うん、せっかくだから袖を通そうと思ってね。似合ってるかな?」
「えぇ、よくお似合いですよ。」

地上では既に日が昇っている午前6時、仮眠後にシャワーを浴びたユーノは昨日はやてから送られた服を着ていた。
管理局の規則では制服の着用が義務付けられているのだが、それは局内にいる時のみで無限書庫の中では私服でも良い。
というのも、無限書庫の仕事場は大半が無重力区画なので360度全方位に司書がいるわけで、特に女性からの要望で許可が下りたのだ。
無論業務に支障がないよう様々な規程はあるものの、他の部署から見たら割と羨ましい環境である。
そんなわけでユーノは早速はやてお手製の服を着たというわけだ。

「司書長おはようございますー…って、どうしたんですその服?」
「おはよう。これは昨日はやてからもらったんだ。」
「八神捜査官からですか。でもどこのデザインですか?あまり見た事ないんですけど…。」
「はやての手作りなんだって、この服。よく出来てるよねぇ。」
「えぇ、八神捜査官の手作り!?どう見ても市販品のように見えますよ?」
「はやては一人暮らしの期間が長かったらしいから、こういう事は得意なのだよ。」

仮眠室にやってきた司書はユーノの服を見て驚いた様子。
普段着ている服が一山幾らな安物なので、見るからに高そうなデザインの服を着ていればそう思われても仕方がないだろう。
しかし、まさかその服がはやてのお手製だとは想像していなかった様で。

「へぇ〜、これはまた意外といいますか何といいますか…。」
「ところで何か用が有ったんじゃないの?」
「あっそうでした。封印した禁書指定の中に司書長の手が必要そうなものがありまして。」
「ん、了解です。アインス、悪いけどここの片付けお願いしてもいい?」
「かしこまりました。」
「それじゃあ行きますか。」
「はい!」

二人は無限の本が待つ無重力空間へと往く。
こうして今日もユーノ・スクライア司書長の一日が始まるのである。





「――は36区画においてあるから。こっちの案件は3年前の資料に似た案件があった筈だからそこからあたってみて。リース君、そっちの現状はどうなってる?」
「こちらは予定通りに進んでいます。禁書指定も今のところ検索に引っかかって無いですし、後2時間ほどで終わります。」
「了解。でも、油断はしないようにね。」
「分かりました。」

午前11時を少し回った頃、周りの司書に指示を送りながら未整理区画からの報告を受けるユーノの姿があった。
今日の無限書庫は普段に比べれば落ち着いているのだが、最近ここの情報を必要としているところは右肩上がりに増えているため他の部署から見れば十分忙しい。
人員強化の申請はしているのだがいまいち成果は上がらず、結果司書一人当たりの仕事量が増え続けているが皆根を上げることなく頑張っている。
そんな彼らに感謝しながらユーノが検索作業を続けていると…。

ポーン♪

なんとなく気に入って設定していたハ長調ラ音の着信音が鳴り、通信ウィンドウが開いた。

「司書長、ハラオウン提督から通信です。」
「『先日受けた依頼の件なら今やってるから期日まで待て。あと、追加は断る。どちらも答えは聞いてない。』って伝えて。」
「いえ、司書長個人にお伝えしたい事があるそうです。」
「僕に?…まぁいいや、とりあえず回して。」
「かしこまりました。」
(あいつが僕に依頼以外の用だなんて一体何だろう?)

心当たりがないわけでもないが、いずれも仕事中に通信繋げてまで言うような事ではない。
週に1度開いている漢だけの飲み会(参加者:クロノ・ユーノ・ザフィーラ+α)を今週はどこで開くか、とか次の麻雀で何を賭けるか決めるとか。
程なくしてウィンドウにクロノ=ハラオウン提督の顔が映し出された。

「やぁスクライア司書長。ご健勝のようで何よりだ。」
「どうしたのですかハラオウン提督、気持ち悪いですよ?何か変なものでも食べましたか?」
「なに、穴倉のフェレットモドキの健康を気遣ってやっただけだ。」
「気遣うくらいなら仕事を減らしてくれないかな?」
「そういう事は犯罪者に直談判してくれ。僕にはどうしようもないな。」
「………。」
「………。」

まるでテンプレートのような挨拶を終え、互いに睨みう。
いつもの事なので周りの司書も特に気にせず自分の仕事を続けているようだ。

「で、何の用?依頼以外での通信なんで珍しいね?」
「あぁ、今日の業務終了をもって君の二日間有休が人事部に受理された。」
「…へ?そんなの申請した覚えないけど?」
「当然だ。申請したのは君の補佐だからな。」
「アインスが?何でまた…と言うか、なんだってそれが受理されちゃうのさ?」

アインスがユーノの休暇を申請した理由は日頃の彼の生活を見れば容易に想像できる。
だが、仮にも一部署のトップの有休が即日受理されるとか人事部の仕事緩くないだろうか?

「大方お前が一向に休みを取らないから無理矢理にでも、と思ったんだろう。聞いた話じゃ部下に休みを取らせるために君が数人分こなしているそうじゃないか。」
「むぅ…。」
「お前は人並み以上に仕事をしているし何よりまだ15だ。少しくらい休んだところで誰も文句言うまい。」
「別に断るつもりはないし、むしろ礼を言うよ。この申請通すの大変だったでしょ?」
「有休申請程度になにを苦労するというんだ。それに君の有休はずいぶんと溜まっていたからな、人事部の連中はむしろ喜んでいたぞ。」
「ふぅん、ならいいけどね。それじゃあ明日・明後日は休ませてもらうよ。」
「あぁ。」

通信を終え、ウィンドウが閉じるのを見ながら降って沸いた休暇ついて考える。
ユーノにとって休暇をもらえる事自体はやぶさかでもないのだが、今回の話は随分といきなりであった。
とはいえ、深く考えても仕方がないので此処はアインスの配慮に甘える事にした。

「まぁ、せっかくのお休みだしのんびりして過ごそうかな。」







各部署が昼休みとなる13時には無限書庫の動きもゆっくりとなり、司書の多くは昼食をとっている。
かく言うユーノも休憩室でアインスの作った昼食を楽しんでいたりする。
今日の昼食は最近日本で流行している(昨日なのはから習ったらしい)麻婆カレーだ。

「へぇ、これって結構辛いね。でもちょっと病み付きになるかも。」
「ファータの好みに合わせて調節しましたが、本来はこれよりも辛味のレベルが上になっています。」
「これよりも辛いって胃に悪そうだね…。」

見事に完食してまったりとしていると、休憩室に入ってくる紅い影が一つ。
航空武装隊の防護服を着た『鉄槌の騎士』ヴィータである。

「よぉ、此処に居たのかユーノ。」
「こんにちわ、ヴィータ。まぁ昼休みだしね。」
「久しぶりですね、ヴィータ。」
「あぁ、おめーも元気そうだなアインス。なによりだよ。」

にんにこ笑顔で挨拶を交わすヴィータ。
アインスが補佐になって以来彼女らはずいぶんと仲良くなり、今では時間が出来れば会いに来ているのだ。
なので他の司書にもすっかり顔なじみで、基本的に司書しか入れない休憩室にも普通に入ってくる。

「そうそう、この間ヴィータが読んでた『次元世界間の文明相違論〜娯楽編〜』なら貸し出されてないよ。」
「おっ、マジか?…あー、でも今は別用だから貸出だけお願いするよ。」
「別用?」
「おう。今日は定時で上がるんだろ?ならその後にちょっと付き合えよ。」
「えっと、何で知ってるのさ?僕だってついさっき聞いたのに。」
「そりゃあアインス経由でな。」

ユーノが自分の有能な補佐の方を向くと、彼女の顔には『何か不都合がございましたか?』と書いてあった。
アインスの仕事の速さにため息をつきかけたが別段予定を決めているわけではないのでとりあえず話しの続きを聞くことにした。

「ちなみに、なんの用なんだい?」
「んー、そいつはまだ秘密だな。なぁに、おめーにも悪い話じゃねーから安心しろよ。」
「…まぁ、ヴィータがそう言うなら大丈夫かな。」
「それから、アインスも来てくれよ。」
「私もですか?しかし私にはまだ業務が残って………いた気もしましたが気のせいでした。是非とも同行しましょう。」
「あれ、今念話使った?何話したのアインス、ヴィータ?」

ユーノは無限書庫に勤務中は常に周囲の環境状況を識る程度の微弱な結界を張っている。
業務中にサボっている司書の監視という名目なのだが、実際にはサボるような司書は居ない為もっぱら彼自身の自己研鑽になっている。
その結界にアインスーヴィータ間の魔力の流れが引っ掛かったため、念話したんじゃないかと察したわけだ。
もっとも、そんなものが無くても会話中に不自然な間が空いたらそう思うのは当然ではあるが。

「ファータ、女性の内緒話を詮索するのは失礼にあたりますよ?」
「そーだぞこのエロフェレット。そんなんだからおめーは淫獣って言われるんだ。」
「ひど!それはあんまりじゃないかなヴィータ…!?」

まぁ、基本的に念話はプライベートな会話なんかで用いられるのでむやみにその内容を聞くとこういう風になるのも当然だが。

「と、とにかく、食器は片付けておくからヴィータと一緒に書庫の方に行っててよアインス。」
「分かりました、ファータ。では行きましょうかヴィータ。」
「おうよ。」

「此所の業務が終わる頃にまた来るから準備しとけよ。」そう付け足すとヴィータはアインスと一緒に書庫の方へ向かっていった。
容姿は全く似ていないが、その姿は仲睦まじい姉妹のようだな、とユーノは思ったという。







終わってみれば今日は特に大量の依頼が来るわけでもなく、ユーノは予定通り定時で仕事を終えることが出来た。
夜天の魔導書の貸し出しも終え、司書長不在の無限書庫を任せる司書達に挨拶をした。

「それじゃあ明日からちょっと此処を空けるけど、手が空いたらいつでも連絡してね。」
「いいえ、ファータはしっかりとお休みください。忙しいようでしたら私が戻りますので。」
「資料請求ならよっぽど大量の依頼が来ない限り私達だけでも何とかなりますから大丈夫ですよ。」
「だからお二人はゆっくり休んできてください。」
「そうっすよ、『読書魔法、皆で倒れりゃ怖くない』っす。」
「いや、倒れちゃだめでしょ?」

司書達に見送られながら二人は無限書庫を後にした。
まぁ、19時が定時とはいえ色々と事務的な作業があるので実際に出たのは20分を回っていた。
そんなわけで無限書庫の前にはジト目で二人(というかユーノ)を睨みつけるチビッ子が1人…。

「おっせーぞユーノ、待ちくたびれちまったぞ。」
「いやいやいや、ヴィータも局に勤めて長いんだからどれくらいで終わるか分かるでしょ?」
「男が女を待たせるなんてあかんで、ってはやてが言ってたぞ。」
「…ちなみにヴィータはどれくらい前から待ってた?」
「大体40分くらいってとこだ。」
「はや!まだ業務中だよそれ!?定時にすらなってないよ!!?」
「しょうがねーだろ、普段より早く仕事が終わっちまったんだからよ!」
「だったら書庫に入ってくればよかったのに。別にヴィータが来ても誰も咎めないんだし。」

局内だというのに子供のように(というか実際子供なのだが)言い争う二人を見て、アインスはとある資料を思い出していた。
そう、以前はやてに頼まれた第97管理外世界の書籍『完全解説!これがお笑いの全てや!!』を。

「なるほど、これが夫婦漫才というものなんですね?」
「「誰が夫婦だよ(だ)!?」」
「第三者から見れば十人中十人がそう答えるかと。それよりもヴィータ、早く行った方が良いのでしょう?」
「…そうだった。ほら、ボサッとすんなユーノ!とっとと行くぞ!」
「えぇ、ちょっと待ってよヴィータ!?」

色々と言いたい事があるヴィータだったが、アインスの言葉にハッとして大急ぎで地上へのトランスポーターに向かった。
なにせ遅れれば遅れるほど後で自分に降りかかる光が増えかねないのだから。
そんなヴィータを追ってユーノとアインスも慌ててトランスポーターへと駆けるのであった。



地上に着いた3人はユーノの車で一路目的地へと向かっていた。
時空管理局の地上本部からちょっと遠い所に居を構えているユーノは通勤の足として自分用の車を持っていたりする。
まぁ、基本的にミッドの自宅に戻らないので何日も局の駐車場に放置されているのだがそこはご愛嬌。

「最近無限書庫って急がしいんだろ?そこん所司書長としてどうだ?」
「そうだね、頼られるのは悪くないけどその分司書のみんなに負担が増えちゃうのがつらいねぇ。」
「うち(航空隊)でもよく資料頼むしなぁ。この間もらった空戦魔導師の戦略関係の資料はなかなか役に立ったぞ。」
「そう言ってくれると司書冥利に尽きるよ、うん。」

走行中は暇なので(主にヴィータから)取り留めのない話を交わす。
ちなみに車の構造上乗車スペースが二人分しかないためアインスは魔導書形態でヴィータの膝に乗っていたりする。

「逆にそっちの方はどうなんだい?」
「そーだな、それなりに強い新人は増えてっけどまだまだだな。」
「君やシグナムさんの眼鏡に適う人材なんて稀だろうしね。」
「? あたしもシグナムも眼鏡なんてしてねーぞ?」
「あはは、今のはただの例えだよ。ひょっとして知らなかった?」
「…そんなの知ってたっつーの。わざとだよ!ついだよ!!」
「どっちだよそれ。」



車を走らせること10分弱、ようやく目的地に到着した。
クラナガンの某所にある少しばかり大きめな一軒家には既に住人が戻っているのだろう、明かりが灯っていた。

「そこの車庫に入れてくれ。」
「あれ、ここって君らの家だよね?」
「それ以外何に見えるんだ?眼鏡した方が良いんじゃねーか?」
「ここがはやて達の住居ですか。地球にあるはやての家と雰囲気が似ていますね。」
「そういやアインスはここに来た事無かったっけか。元々あった家を取り壊してわざわざ似たような家にしてもらったからな。」

そう、3人が着いたのは八神家の家であった。
はやてをはじめ一家全員が局勤めなので宿舎を借りることも出来るのだが、主の希望で家族全員が共に暮らせる家を購入していたのだ。
そんな家を見てユーノは(最近は中々集まれなくてつまらない、って前にはやてが愚痴っていたなぁ)などと思い出していた。

「そんじゃちょっと着替えてくるから少し待っててくれ。」
「アレ、今からまた別の所に行くの?」
「ちげーよ。自分ちで制服なんて堅っ苦しいだろ?」
「だったら中で待たせてもらっても…。」
「とにかくガタガタ言わねーでここで待ってろって。男だろ?」

「いや、それ関係ないし…。」と言うユーノを無視してヴィータは夜天の魔導書を持ったまま中に入ってしまった。
もう初夏になるのでこの時間でもさして寒くはないのだが、家の外に一人待たされている時に歩行者と目が合うとまるで怒られて外に締め出されているようで恥ずかしくなってしまう。
あっさりと同行を了承した事を少しばかり後悔しながら待つこと5分、中からドタドタという音と共にヴィータの声がした。

「おーい、もう入っていいぞー。」
「あ、うん。お邪魔します。」

さすがに周囲の視線が痛くなってきた頃だったので渡りに船とばかりにドアノブに手をかけて扉を開けると…。

パンパンパン!!

「うわぁ、何な「「「ユーノ(君)、誕生日おめでとう!!」」」……え?」
「ほらほら、早く入ってユーノ君♪」
「え?え?何なのこれ…!?」

そこに待っていたのはアインス・ヴィータの他になのは、フェイト、アルフ、シグナム、シャマル、ザフィーラ、クロノといった知己の面々であった。
皆一様にラフな私服にパーティ帽といった格好で、唯一ザフィーラだけが給仕服だった。
予想だにしていなかった展開にただ流されるまま居間に通されたユーノは、天井から吊るされた釣り看板を見てようやく頭が再起動した。

「『ユーノ・スクライア誕生日会』…?」
「そうだよユーノ、なのは発案で皆が仕事の合間をぬって準備してきたんだよ。」
「装飾なんかははやてちゃんが陣頭指揮を取ってたし、料理もシャマルさん以外の皆で頑張ったんだ。」
「私だって盛り付けとか頑張りましたよ、なのはちゃん!?」
「あたしとシグナムは部屋の飾りつけ担当だったよ。」
「残念ながら主はやては仕事でいらっしゃらないが、昨日の内にプレゼントを届けに行かれただろう?」
「ほらほら、ボケーっと立ってないでこっちに座りなよユーノ。」
「うむ、主賓が棒立ちでは会が進まないぞ、スクライア?」
「まったくだ、フェレットもどき。さっさと席に着きたまえ。」
「ちょっ、ちょっと待ってよ皆!!?」

なのフェが主な説明をし、ヴォルケンズ+アインスが補足、獣コンビ+αが席に誘導する。
見事なコンビネーションなのだが、いかんせんユーノは状況そのものが掴めていないので全く功を奏していなかったりする。
そんなわけで全くもって何がなんだか分からないユーノはとりあえず皆の話を止めて状況を聞く事にした。

「あのさ、誕生日会ってどういう事?僕の誕生日って僕自身知らないんだけど…。」
「うん、知ってるよ。だから私達でユーノ君の誕生日を決めちゃいました♪」
「いやいやいや、そんな簡単に決めちゃっていいの、そういう事って?」
「もちろん法的な物なんかじゃなくて私たちが勝手に言ってるだけだよ。」
「でも、誕生日ってただ単に産まれた日って事じゃなくて産まれた事をお祝いする日だと思うの。産まれた日は分からなくても、ユーノ君が産まれたのは確かなんだからお祝いしないと、ね。」
「それに、もし産まれた正確な日が必要だったらここにいるメンバーの半分が誕生日を祝われなくなっちゃうよ?」

実際にははやてとなのは(※とらは版)以外全員な気もするのだが、そこは突っ込まないでおこう。
ともかく、自分にとって無縁だった誕生日というものが突然振って沸いたのだ、心の整理が追いつかないのは当然だろう。
そんな彼を見て今まで黙っていたアインスが口を開いた。

「そのように難しく考える必要はないでしょう、ファータ。」
「アインス?」
「皆様がファータを祝ってくださる、それだけで十分ではないでしょうか?」
「アインスの言うとおりだ、ユーノ。君はまだ子供なんだからここは素直に祝われるべきだぞ。」
「そうだそうだ、こんな機会じゃなきゃ御馳走喰えねーんだしよ。」
「お前はただ腹いっぱいに飯を食べたいだけだろ、ヴィータ?」
「う、うるせーよザフィーラ、悪いか!?」

ヴィータの発言に一同が誰からともなく笑い出し、それに釣られてユーノも笑い出す。
何も考えずただ笑っているとさっきまで心の整理やらなにやら考えていたのが馬鹿らしくなってくる。
思えば小さい頃から何かにつけて理由を考えるような大人じみた考え方をする子供だった、と思い出す。
もっと自分の感情に素直になってみるのも良いだろう。

「あー、こんなに笑ったのは久しぶりだよ。」
「後でぜってー叩き潰してやる…。」
「それは勘弁かなぁ…。さて、皆わざわざありがとうね、僕なんかの為にこんなにしてくれて。」
「いつも助けてもらってるお返しも兼ねてるんだし、お礼なんていいよ。」
「それでもありがとう、だよ。なのは。」
「ユーノ君…。」
「さぁさぁ、早くしないとせっかくの料理が冷めちゃうよ?」

なにやら物騒な事をつぶやくヴィータはさておき、こんなサプライズを用意した皆に感謝の意を述べるユーノ。
そして初めての誕生日会での主役なのだ、存分に楽しませてもらう事にした。

「それじゃあ早速蝋燭消しやりましょう。誕生日といえばこれですからね。」

手を合わせて提案するシャマルによってケーキに立てられた蝋燭に火が灯され、部屋の照明が落とされた。
日本でよく歌われる誕生日の歌の合唱と共に思いっきり吹き消したらちょっと咽てしまい、再び笑いに包まれる一幕も。
拍手に包まれる中、こういう場で恒例のプレゼント渡しタイムとなった。

「はい、私からのプレゼントはアインスさんと一緒に選んだ眼鏡だよ。」
「近頃ファータの視力が低下していたようでしたので。変身魔法でファータになって調節していただいたのでサイズはちょうど良いかと。」
「ありがとう二人とも。昨日の外出ってこれだったんだ。」
「何だおめー、本当に眼悪くなってたのか。」
「そういえば最近視界がボンヤリしてたかなぁ。私生活には問題ないから気にしてなかったけど。」

「私からは万年筆。書類作業で使うかなぁ、と思って。」
「なんだかすごい高級そうなデザインだけど、高くなかった?」
「ちょっとばかりね。もしかして迷惑だった…?」
「そんな事ないよ、大切に使わせてもらうよ。ありがとうフェイト。」

「私は腕時計だよ。遺跡発掘でも使える物って事で、丈夫なやつを選んだんだ。」
「これって最近CMでよく流れてる『次元震もドンとこい!』ってヤツだよね?ありがとう。」
「発案はザフィーラだけどね。こんななりしてて結構気が利く奴だからね。」
「そうなんだ。ありがとうございますザフィーラさん。」
「なに、気に入ってくれたのなら幸いだ。」
「それにしても…その格好似合いますね。」
「ふっ、主の命あらば給仕もこなすのが守護獣の務めだからな。」
(それは違う気が…。)

「僕からはこれだ。」
「…何この『西部動物園主催フェレットショー観覧無料チケット』って?」
「苦労したんだぞ、フェレットを扱っている動物園自体少ないのに、その中でさらにショーを行っている所なんて極僅かだったからな。」
「えっと…最近疲れてない?よかったらいい病院紹介するよ?」
「人が親切で探してやったのにずいぶんな言い草だな。」

「あたしはほれ、古本屋にあった本を幾つか見繕ってやったぞ。」
「へぇ、ありがとう。楽しみにしておくよ。」
「おうよ、どれも面白かったから期待しとけよ。」
(うぅ、実は全部読んだ事あるなんて言えない…。)

「私からはペンダントをプレゼントです。」
「ありがとうございます。あれ、中に写真が入るんですかこれ?」
「そうですよ。」《なのはちゃんの隠し撮り写真入れておきましたから大切にしてくださいね♪》
「シャ、シャマルさん!?」
「それにしても最近はユーノ君が医務室に来なくて嬉しいやら寂しいやら複雑ですよ。」
「あー、アインスに厳しく体調管理されてますからね。」
「ふふふ、彼女も元気そうで何よりです。」

「最後は私だな。トレーニングに使えるようなウェアーやスニーカー一式だ。」
「ありがとうございますシグナムさん。」
「そういえば最近ユーノと模擬戦をしていないな。久しぶりにやらないか?」
「あはは…書庫の仕事が忙しいんでまたの機会って事で。」
「何を言うか、無限書庫の規定では週に3度のトレーニングが義務付けられているのだろう?」
「いや、毎度結界が壊れるまで全力でぶつかる模擬戦をトレーニングとは言わないですよ。」

何事もなくプレゼントタイムも終わり、その後は立食パーティの時間となった。
ヴィータとアルフがわき目もふらずに喰っている光景を背景になのフェはユーノと談笑しながら軽くつまみ、シグナム・クロノはその光景をつまみに日本酒を嗜んでいる。
ザフィーラとシャマルは台所の方に用意されている料理や酒を忙しなく運んできていて、妙に様になっている。
途中で食事が底をつき、シャマルがレトルトを暖めようとしてシグナム達に止められていたがそこは見ない事にした一同であった。

――こうしてユーノ・スクライアの人生初めての誕生日は過ぎていった。
それは彼の人生において決して忘れる事のない一頁を書き記したことだろう。









「はぁ〜、今頃皆はユーノ君を囲んで楽しんでるんやろうなぁ…。」
「リインもユーノさんやお姉さまと一緒に食事したかったですぅ〜。」
「何で私らってこんな役回りなんやろうなぁ…。」
「リインはとばっちりですよぉ。このお仕事ってリインがいなくても大丈夫じゃないですか?」
「私だけ仲間外れなんてあんまりやーん。」
「うぅ、はやてちゃんの人でなし〜…。」

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