<< 第6話「少女…A/嘘の代償」 | main | 博麗霊夢&森近霖之助 >>

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  • 2014.09.06 Saturday
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一定期間更新がないため広告を表示しています


なんか色々と申し訳ない

気がついたら二ヶ月近く更新してなかったんですね。
最近会社の業務教育や東方Projectの霖之助製作などを優先していてとんとSSの執筆から離れているんですよねぇ。
時間があいた時に以前にチラホラと書いたネタでチマチマ進めているものの、とてもじゃないですが載せられる程の量じゃないっす。
今もfigmaシャマルさんに合わせて八神家のキャラを自作中だったりしますしね。
完成の目処がつき次第シャマルさんと共に紹介しようかと。

さて、流石にこれだけじゃなんなので何かネタになるものは無いかと探した所、丁度いいものがありました。
以前機動六課勤務日誌兇諒に寄稿させていただいたSSを思い切って載せちゃおうかと。
今年の冬コミでは勤務日誌犬諒が発売されるらしく、今から非常に楽しみにしていますさ。
そんなわけで、『司書見習いヴィヴィオのとある一日』を続きからどうぞ。
























○月□日/ハレ
今日はユーノさんのところに行きました。
司書さんのおべんきょうはむずかしいけどおもしろいです。
あと、今日はとてもうれしい事がありました。
それは…。



「おはよう、ユーノ君。今日はなんだか顔色が良いね?」
「おはようございます、ユーノさん〜!」
「二人ともおはよう。ヴィヴィオが来てくれるのに隈なんて作ってたらなのはに怒られちゃうよ。」
「ふふっ、それもそうだね。」
時空管理局本部無限書庫。
文字通り無限に近い蔵書を誇るこの施設の事実上のトップである司書長ユーノ・スクライアに迎えられたのは幼馴染にして管理局のエース・オブ・エース高町なのは一等空尉とその愛娘の高町ヴィヴィオである。
今日はヴィヴィオが通うSt.ヒルデ魔法学院が休みなので、いつものようにユーノの元で司書の勉強をするために来ていた。
学院に通い始めた頃は親子の待ち合わせ場所として使わせてもらっていたのだが、現在ではヴィヴィオの勉強の場として活用されているのだ。
早速ユーノは勉強用に書庫内での限定業務許可証をヴィヴィオに手渡す。
「ヴィヴィオはコレをつけてね。」
「うん、ユーノさん!」
「いつもヴィヴィオの勉強を見てくれてありがとう。お仕事が大変だったら断ってくれても良いのに…。」
「とんでもない。こうして頼ってくれるのはうれしいし体調はすこぶる良好だよ。」
ユーノの体調を気遣うなのはであったが、無用の心配だったようで安堵の表情を浮かべる。
以前寝不足気味だった時にヴィヴィオに一発で看過されてそれはもう盛大に叱られて以来、今まで以上に自己管理をするようになったらしい。
JS事件後の人員補充や整備が進んだ事で彼1人が無茶せずとも問題なく機能するまでになった事も大きいだろう。
「そういえば昔は私達が何度言ってもめったにお休み取らなかったよね。」
「あー、そんなこともあったかなぁ…。」
「ユーノさんそんなことしてたの?ダメだよ、しっかりお休みしなきゃ?」
「大丈夫だよ、今は毎日しっかり寝てるからね。心配してくれてありがとう。」
そう言うとユーノは微笑みながらヴィヴィオの頭を優しく撫でる。
気持ちよさそうに目を閉じる愛娘を見て少し羨ましい気持ちになるなのはであったが、時間が差し迫っていたので泣く泣く仕事場へ向かう事にした。
「それじゃあ私はもう行くね。ヴィヴィオ、いい子にしてるんだよ?」
「だいじょうぶだよなのはママ、ヴィヴィオしっかりおべんきょうしてるよ〜。」
「僕も付いてるし大丈夫。行ってらっしゃい、なのは。気をつけてね。」
「うん、行ってきますユーノ君♪」
本部の廊下を駆けていくなのはを見送った二人は手を繋いで来賓室へ向かった。
司書の勉強といっても、ただ検索魔法等の技量を上げるだけでなく様々な知識を身につけなければならない。
なので実践の方は午後の勤務時間内に一緒にやることにして、午前中は座学にあてている。
「まずは前に出した宿題の答え合わせをしようか。答案は持ってきた?」
「うん…じゃなくて、はいユーノ先生!」
授業の間は言葉使いをしっかりしよう、とは言われているがつい普段通りに話してしまうヴィヴィオ。
まぁ、ユーノも特に注意はしないので意味があるのかは疑問なのだが。
それはさておき、ファイルから取り出された答案を受け取るとユーノは読書魔法で一瞬で読み取って答え合わせをする。
「えっと…うん、87点か。前にミスしてた所もしっかり出来てるし、よく出来ました。」
「ホント、ユーノ先生!?やった〜!」
「ただ、やっぱり文学関係がまだ苦手みたいだね。ここら辺もなのはにそっくりだね。」
「だって覚える事が多くて難しいんだもん…。」
出来た所は褒めて、出来なかった所はしっかりと注意する。
その度にヴィヴィオは一喜一憂するのはお約束だ。
「大丈夫だよ。最初に比べるとすごく成長してるし、このまま頑張れば試験もクリア出来るよ。」
「…うん、ヴィヴィオ頑張る…じゃなくて、頑張ります!」
その意気だよ、と言いながら頭を撫でるユーノ。
ヴィヴィオにとってこの行為は親愛の証であり、ご褒美でもあるので非常に気持ちよさそうに笑みをこぼす。
ユーノもその笑顔に癒されるのだが、さすがにこのままずっと撫でているわけにはいかない。
「それじゃあ間違えた所を直そうか。」
「はい!」



「今日はここまでだね、お疲れ様。」
約一時間ほどの授業が終わり、ユーノは周りに浮かべていた教材を手元に戻した。
しかし、普段より早く終わったのでヴィヴィオは若干物足りないような顔でユーノを見る。
「もう終わりなの?ヴィヴィオまだ頑張れるよ?」
「こういう事は中庸、つまり詰め込みすぎず休みすぎずが一番なんだよ。」
「ちゅうよう…はい、分かりました〜!」
素直に返事をしてくれるヴィヴィオを好ましく思いながら、やっぱり頭を撫でるユーノ。
しばらくそうしていると、ふと何か思いついたように通信ウィンドウを開く。
「司書長、どうなさいましたか?」
「今キッチンって空いてるかな?」
「そうですね……はい、ただいま誰も使っておりません。」
「良かった。ならちょっと使わせてもらうよ。」
「かしこまりました。」
ウィンドウが閉じるのを確認すると、キョトンとしているヴィヴィオの前にしゃがみこんで尋ねる。
「今からちょっと休憩にしようと思うんだけど、ヴィヴィオは何飲みたい?」
「ユーノ先生が作ってくれるの?」
「そうだよ、コレでもなのはから色々と教えてもらったからね。」
少し誇らしげに話すユーノを見て少し考えたヴィヴィオは、大好きなアレを頼んでみた。
「ユーノ先生、キャラメルミルクは作れますか?」
「うん、作れるよ。」
その言葉に満開の笑顔を咲かせたヴィヴィオを連れて二人は来賓室をあとにした。
きちんと筆記用具などを片付ける事を忘れない辺り、なのはの教育がしっかりしている証拠だろう。
「キャラメルミルク〜♪トロトロ美味しいキャラメルミルク〜♪」
「ヴィヴィオは本当にキャラメルミルクが大好きなんだね。」
「うん!なのはママが作ってくれるキャラメルミルクだ〜い好き♪」
「なのはの味にはまだ叶わないけど、楽しみにしててね。」
無限書庫のキッチンは元々来客の際に飲み物を用意するために設けられた簡易的なものだった。
しかし、今では大人数の食事を用意できるまでにグレードアップされているのだ。
主に司書長の体調を心配した教導官が強権を発動したとか何とか。
そんなキッチンに着いたユーノは二人分のキャラメルミルクを作り始めた。
「ヴィヴィオ、学校の方は楽しいかい?」
「うん、面白い事をいっぱい知れて楽しいよ!それにお友達も一杯出来たんだ♪」
「そっかぁ。やっぱりヴィヴィオ位の歳だったらお友達と遊ぶのが一番だよ。」
そんな何でもない会話をしていると、独特のほんのりと甘い香りが漂ってきた。
ヴィヴィオにカップを出してもらうと、ユーノは慣れた手つきで出来たてのキャラメルミルクを注いで無事完成だ。
「はい、出来たよ。」
「うわぁ、なのはママのとおんなじニオイがする〜♪」
「ヴィヴィオ、こういう時は『良い香り』って言うんだよ?」
手渡されたカップを嬉しそうな顔で見るヴィヴィオと共に来賓室に戻るユーノ。
口直し用の甘さ控えめなクッキー(ユーノ特製)を持っていくのも忘れない。



「…で、何で君たちがいるのさ?」
来賓室のドアを開けると、そこには旧友であり元機動六課部隊長である所の八神はやてとそのパートナーのリインフォース兇くつろいでいた。
「私は司書長さんに用があって来たんよ?おぉ、久しぶりやな〜ヴィヴィオ。」
「リインはその付き添いですぅ。」
「こんにちわはやてさん、リインさん。」
頭をワシワシ撫でながら「おぉ、覚えててくれてありがとな〜。」なんて言うはやてにヴィヴィオは「キャー」と言いながら楽しげに振り回されている。
そんないつもの光景を眺めていると、ふとユーノは卓上に置かれているお茶が目に入った。
「はやて、そのお茶どうしたの?」
「これか?ここに案内してくれた秘書さんにもらったんよ。」
「とっても美味しいですよ〜。」
ついさっきまで二人がキッチンを使っていたのにどうやって用意したのやら。
なんて事を思うユーノだが、これまたいつもの事なので特に気にする事は無かった。
それよりもせっかく作ったキャラメルミルクが冷めてしまうので、まずは4人で一服する事にした。
「はい、緑茶に合うか分からないけどよかったら食べてよ。」
「おっ、クッキーやん。こんなんも用意してるんや、ここって。」
「ありがたくいただくですよ〜。…ふわぁ、すっごく美味しいです!」
両手で抱えたクッキーを頬張りながら歓喜の声を上げるリイン供
ユーノのお手製だという事を告げると二人とも驚いたようで、後にはやてが作り方を習いに来るのだがそれはまた別のお話。
突然のお茶会を終えて一息つくと話を進めるべくユーノが口を開いた。
「それで、今日は何の用なんだい?」
「ちょお調べてほしいことがあるんよ。」
「…まさかアノ時みたいな依頼じゃないだろうね?」
「あはは…まさかそんな訳あらへんやんか…。」
ジト目で尋ねるユーノから逃れるように視線をずらすはやて。
誰が見ても明らかに図星な表情だった。
「ねぇねぇリインさん、アノ時って何の事ですか?」
「えっとですね〜…。」
『アノ時』とは、数ヶ月前にはやてが『新歓で何かせんとあかんから、なんかスッゴイ一発芸が載ってるような本あらへん?」等と非常にどうでもいい依頼をしてきた時の事である。
普段のユーノなら文句を言いつつも引き受けるのだが、運悪く貫徹5日目で大絶賛不機嫌中だったものだからさぁ大変。
絵にも描けない表情で大暴れして多くの司書の心にトラウマを残したとか何とか。
「…って訳ですよ。」
「自分の事ながらアレはちょっと大人気なかったかなぁ。」
「はやてさん、ユーノ先生にわがまま言っちゃめーですよ。」
ため息をつくリイン兇肇罅璽痢△修靴橡砲鯔弔蕕泙擦堂聴Δ怒るヴィヴィオに囲まれて軽く凹むはやてであった。
「まぁ、とりあえず聞くだけ聞こうか。」
「古代ベルカの家庭料理の本が整理区画にあるか探して欲しいんよ。うちの子らに振舞ってあげよ思って。」
「ふぅん。はやてにしてはまともな依頼だね。てっきり全次元世界のお笑い本とか要求してくると思ったのに。」
「リイン〜、ユーノ君がイジワルや〜!」
「自業自得ですよはやてちゃん。」
自らのデバイスに見放され、ヴィヴィオにいい子いい子されている八神はやて(20)を余所に、ユーノは過去に整理した書物の情報を思い出す。
流石に全てを覚えているわけではないのだが、前に同じような理由で探した事があるので目的の本はすぐに見つかった。
ちょっぱやで持ってきてさっさと部屋の隅でいじけているはやてを帰そうと思ったが、ここで妙案を思いついたらしくポンと手をたたいた。
「分かったよはやて、その料理本を探しておけばいいんだね。」
「うんにゃ、整理区画にある事が分かれば自分で探すわ。どうせ今日はもうオフなんやし、私でも時間さえかければ見つかるやろ?」
「いや、せっかくだからヴィヴィオの特訓の課題にしようと思ってね。」
どうやら午後からのヴィヴィオの実技授業に使おう、という考えらしい。
予定では管理局の歴史に関する簡単な課題を出そうと思っていたのだが、こういう薄ぼんやりとした依頼の方が逆に良い経験になるだろうと踏んだのだ。
どういう本が収まっているのかは整理業務の際に登録されるので分かるのだが、蔵書検索システムの配備が十分に進んでいないため整理区画の何処にあるのか正確な場所が分からない事も多々ある。
そのため依頼内容の詳細が定まっていない場合は個々人の判断と地道な検索が一番の近道になる。
「そっか、ヴィヴィオは今司書の勉強しとるんやっけ。」
「うん。ここのお仕事ってすっごく楽しそうなんだよ!」
「おうおう、その都市でもう目標があるなんてヴィヴィオは偉い子やねぇ。」
嬉々として司書の仕事について話すヴィヴィオは見る者全てをほぇ〜とさせる可愛さがある。
さっきのお返しにと頭を撫でるはやてはふといたずら心でこんな事を言い出した。
「てっきりヴィヴィオはなのはちゃんみたいな魔導師になるって思っとったけど、お父さんの仕事の方が気にいったんやね。」
「い、いきなり何言い出すのさ!?」
「だって二人ともお似合いやん。」
突然の言葉に吹き出すユーノ。
彼とてなのはに対して好意を抱いている事は自覚しているが、それが恋愛感情と呼べるのか分からなかった。
それなのにいきなりお父さんとか言われてビックリするのは当然だろう。
「ヴィヴィオかてパパは欲しいよなぁ?」
「パパ…う〜ん、よく分かんないや。」
学院や無限書庫で多くの事を学んでいるヴィヴィオは当然父親という存在を知識としては知っている。
しかし、その特殊な出生を自覚している彼女は自分と血の繋がった生みの親が居ない事も知っている。
それゆえに彼女にとって両親というもの考える事は無意識のうちに避けていた。
なのはとの出会いを通じて『自分を大切にしてくれる存在=ママ』と学んだのだが、『パパ』と言う存在については考えた事もなかった。
余談だが、過去にユーノの事も『ユーノママ』と言ってなのはにこっぴどく怒られた事があったりなかったり。
「でもでも、ユーノさんとなのはさんとヴィヴィオちゃんってとっても仲良しさんですし、周りから見たら立派な親子さんですよ〜。」
「そうやで。実はもう籍を入れとるって言われても誰も驚かんよ。」
なので二人の言葉にユーノは苦笑し、ヴィヴィオは疑問符を浮かべるのであった。



 午後になり、ユーノとヴィヴィオは無限書庫を象徴する書架空間にいた。
ユーノは通常業務に戻って資料検索を行い、ヴィヴィオはユーノから出された課題用の資料検索を行う。
一見すると仕事場に少女がほったらかしになっているが、ちゃんとユーノはマルチタスクの一つを割いてヴィヴィオの様子を見ている為何の問題もない。
それでも並みの司書を越える作業スピードなのは流石司書長といった所か。
「あの、ユーノ先生、この資料のここはどういう事ですか?」
「どれどれ……、コレなら同じ区画の厚生関係のところに関連資料があるからそこを参考にしてみて。」
「わかりました〜。」
もちろん授業なので質問は自由で、ヒントだけ出す形で答える。
これはユーノの教育方針で『ある程度考えて分からなければ他人を頼る』事を覚えさせるためだ。
司書の仕事に限らず、大抵の事はスタンドプレーよりチームプレーの方が効率が良い場合が多いからである。
「んと、ここだよね。」
言われた区画に着くと、ヴィヴィオは早速検索魔法を展開する。
周りの司書達と比べるとゆっくりだが着実に検索を進めていくその姿はとても微笑ましい。
「ヴィヴィオちゃん、それだったらこっちの方にあるよ〜。」
「本当ですか?ありがとうございます!」
なのでついつい手助けしてしまうのも頷けるだろう。
ユーノから『ある程度なら助言してあげてください』とGOサインが出ているのも原因の一つだと思われる。
「やっぱりヴィヴィオちゃんを見てると癒されるなぁ〜。」
「全くだ。俺も娘が出来たら可愛がるんだろうよ。」
「ついお持ち帰りしちゃいそうだけど、そうしたら司書長のアレがあるしね。」
私語を交えつつも検索スピードは全く落ちていない司書達を遠巻きに見て、もっと頑張ろうと思うヴィヴィオであった。
会話の内容まで伝わっていなかったのは司書達にとって僥倖であろう。
〜閑話休題〜
二時間ほど経ち、あらかたの資料を集め終えてレポートを書いているヴィヴィオの元に懐かしい人物達がやってきた。
「こんにちわ、ヴィヴィオ。最近会えなかったけど元気にしてた?」
「久しぶりねヴィヴィオ。この間ここで話をして以来かな。」
「フェイトママ!ティアナさん!久しぶり〜!!」
優しく微笑みながらヴィヴィオの頭を撫でているのは次元航行任務を終えて久方ぶりに本局に戻ったフェイト・T・ハラオウン執務官。
一歩下がって同じく微笑んでいるのはフェイトの補佐として同行していたティアナ・ランスター執務官見習いである。
正式になのはの娘になり、法的な繋がりがなくなった今でもヴィヴィオにとってフェイトが『ママ』であることは変わりない。
そしてティアナを始めとする元六課メンバーとは、無限書庫で勉強するようになって偶に会う事があるため今でも交流が続いていたりする。
「今日はどうしたの?」
「長期の任務が終わってそのまま帰ろうかと思ったんだけど、せっかくだからヴィヴィオに会おうかなって。」
「フェイトさんがなのはさんの自宅に寄ってヴィヴィオに挨拶に行く事をなのはさんに連絡したら、ちょうどここにヴィヴィオがいる事を教えていただきましたね。」
ようは長旅を終えて早い所会いたかったので直接来ちゃいました、といった所だ。
ティアナはどの道ここで借りていた資料の返却に来る予定だったので、それにフェイトが同行した形になる。
「それにしてもヴィヴィオ、貴女また一段と上達したわね。」
「ありがとうティアナさん。これもユーノ先生のおかげだよ!」
話しかける少し前にヴィヴィオが展開していた読書魔法を見ていたティアナは素直に賞賛した。
六課時代に何回か後方支援研修と称してここに来た際に司書業を体験させてもらった時は、とてもではないがあの頭に直接情報が流れ込んでくる感覚に耐えられなかったのだ。
今でこそとある事情で検索・読書魔法を会得しているが、それでも3冊が限度。
その倍近くを危なげなく扱うヴィヴィオに軽い嫉妬を覚えたことも事実だがその裏にある努力を知っているのでそんな気持ちはすぐに霧散した。
「ユーノは教え方が上手だからね。私も執務官試験の時に助けてもらったし。」
「そうだったんですか、初耳です。」
「フェイトママもユーノ先生に教えてもらったの?」
「私の場合は過去の試験問題や資料集を探してもらったり、詰まった時に質問に行った位だけどね。」
執務官になる為に努力していた頃を懐かしみながら「私とお揃いだー。」とはしゃぐヴィヴィオを落ち着かせるフェイト。
その様子を見ていたティアナは、今なお背中を追いかけるので精一杯なフェイトの先生でもあったと言うユーノ・スクライアと
いう人物に興味が涌いてきた。
とりあえず簡単なプロフィールは知っているのだが、その人となりを殆んど知らないので手っ取り早く知っている人に聞く事にした。
「ねぇヴィヴィオ、そのユーノさんってどんな人かな?」
「ユーノ先生は何でも知ってていつも笑ってるよ〜。」
「そうなんですかフェイトさん?」
「ん〜、間違いじゃないよ。あと、ユーノは誰にでも優しくできる人かな。」
他にも色々と聞いて見ると二人の中でかなりの好印象な事がよく分かる。
特にヴィヴィオはまるで自分の事の様に嬉々として話すので、どれだけ彼の事を気に入っているかは一目瞭然だった。
フェイトはフェイトでなのはやシグナムの事を話す時と同じく、誇らしい親友を自慢しているような表情をしている。
「二人ともありがとうございます。それにしてもヴィヴィオは本当にユーノさんの事が好きなのね。」
「うん、ヴィヴィオユーノ先生大好き!」
「ふふっ、ユーノもすっかりヴィヴィオのお父さんだね。」
「ふぇ、何でユーノ先生がパパなの?」
「…あれ?」
偶然にもはやてと同じ事を言われたヴィヴィオは再び不思議そうな顔をした。
フェイトからすればここまで懐いているのだから、ユーノも昔の自分のように彼女の親に近い立場になっていると思っていたのでこちらも不思議そうな顔をした。
「えっと…ヴィヴィオはユーノから色々と教わっているんだよね?」
「うん。」
「それでユーノの事が好きなんだよね?」
「そうだよ。」
「だったらユーノはヴィヴィオのお父さんだよ。」
「ん〜、やっぱり分からない…。」
どうにも言いたいことが伝わらなくてもどかしく感じるフェイト。
彼女自身『父』と言うものを知らないが、なんとなくではあるが『母の一番のパートナー』と言うイメージがある。
故になのはの一番のパートナーであるユーノは彼女の夫にふさわしく、ヴィヴィオの父としても一番だと思っている。
それをどう伝えればいいか悶々としていると、ティアナが何かに気づいたように口を開いた。
「ヴィヴィオは『お父さん』ってどういう人だと思う?」
「んと…男の人でママと結婚している人、あとは子供と血がつながった人。」
「それも合ってるけど、それ以上にお母さんと子供に好かれている人の事をお父さんって言うのよ。むしろこっちの方が大事だと思うわ。」
幼い日の記憶や友人の事を思いながら父について語るティアナ。
世間にはそうでない父親が少なからずいるのも事実だが、まだ小さいヴィヴィオにわざわざ言う事ではないだろう。
「ヴィヴィオとなのはママが大好きな人…ユーノ先生、だ。」
「ならユーノさんがヴィヴィオのお父さんって事よ。」
「でもなのはママとユーノさんは結婚してないよ?それにヴィヴィオは…。」
研究所で造られたんだよ、そう言いかけて口を閉ざすヴィヴィオ。
いくら今が幸せであってもその事実は彼女の心に影を落としている。
そんな心中を察したティアナは、それでも言葉を続ける。
「あのねヴィヴィオ、血の繋がりなんて絶対的なものじゃないの。スバルも同じ様な境遇だけどゲンヤさんをお父さんとして慕っているわ。それにヴィヴィオだってなのはさんやフェイトさんをママって呼んでるじゃない。」
「そうだね、たとえ赤の他人でも家族になれる。私もそうだったからそれはよく分かるよ。」
「ついでに言えば、結婚なんて形式的なものなんだし全く問題ないわ。」
二人の言葉に得心したのか、ヴィヴィオは嬉しそうに「そっか、ユーノ先生がパパなのかぁ。」と呟いていた。
「すごいね、ティアナ。あんなにあっさりヴィヴィオが納得してくれるなんて。」
「そんな事ないですよ。ただなんとなくヴィヴィオとフェイトさんの父親に対する認識が違うんじゃないかな、って思っただけですから。」
「ううん、そういう直感を言葉に出来るのはすごい事なんだよ。これじゃあティアナに追い越されるのも時間の問題かな?」
ウィンクしながら指を振るフェイトの姿はどこか年頃の女の子を髣髴とさせる幼い可愛さがあった。
もっとも、女の子と言うにはいささか年が…いえ、なんでもないです。



「それじゃあ頑張ってね、ヴィヴィオ。」
「うん、フェイトママ!」
「よくこんな事思いつきますね、フェイトさん。段々はやてさんに似てきたんじゃないですか?」
「そ、それってどういう意味かな…?」
何気にヒドい事を口走っているティアナはさておき、なにやらヴィヴィオに入れ知恵したらしいフェイト。
何を吹き込んだかは後のお楽しみ…なので既に感づいた人はとりあえず自由の女神の光でも見て忘れてください。
「ところでヴィヴィオ?」
「なんですか、ティアナさん?」
「作業止まってるけどいいの?」
「…あっ!?」
ティアナの指摘で課題が止まっている事に気づいたヴィヴィオは慌てて作業を再開した。
並の司書に勝るとも劣らないそのスピードを二人がしばし見学していると、何冊か本を抱えてこちらに来る人影が一つ。
「フェイト、ティアナさん、お待たせ。ちょっと遅くなってごめんね。」
「いえ、ユーノさんのご好意で探していただいたのですから時間が掛かっても大丈夫ですよ。」
そう言うとティアナは接近してきた人影ことユーノから幻術魔法に関する古い資料を受け取った。
今では使い手自体が少ないそれを研究している彼女にとって、そういった古い資料が豊富にあるここは絶好の場所である。
そして1人で研究するために検索・読書魔法を会得し、ここの使用許可を申請した際に事情を聞いたユーノが「面白そうだね」と興味を示して今回のように資料を提供してくれたりするのだ。
「それでヴィヴィオは…と、どうやらまだみたいだね。」
「あぅ〜、ごめんなさい…。」
「ごめんね、私達が話しかけたから手を止めちゃったみたいで。」
「二人とも気にしなくていいよ。出来なかった分は宿題にすればいいんだし、急ぐようなものでもないし。」
しょんぼりと肩を落とす二人だったが、特に気にした様子もなく手をヒラヒラとさせるユーノ。
「とりあえずそろそろなのはが迎えに来る頃だし、帰る準備をしようか。その資料は貸出申請しておくから次までに纏めておいてね。」
「分かりました、ユーノパ…じゃなくて先生!」
「ん?今なんて言いかけ「ユーノ、私達もそろそろお暇するよ。ねっ、ティアナ?」
「そうですね、フェイトさん。今日はありがとうございました、ユーノさん。」
先程の癖でユーノをパパと言いかけたヴィヴィオであったが、フェイトに吹き込まれたちょっとしたイタズラを思い出して言い直す。
二人も無事イタズラを成功させるために何食わぬ顔で話をずらす。
「いいの?どうせならなのはと一緒に食事に行けばいいのに。」
「せっかくだけど、それは『親子』水入らずの方が楽しいと思うの。ヴィヴィオもその方がいいよね?」
「うん!」
「なら決まりですね。それじゃあ失礼します。」
「えっ、ちょっと二人とも……、行っちゃった。」
畳み掛けるように言いたい事だけ言って光の如く出口のように飛んで言った二人をポカンと眺めていたユーノは、首を傾げつつもとりあえず貸出申請に向かった。
いつの間にか書きかけのレポートを片付けたヴィヴィオも「ユーノ先生待って〜。」と言いながらそれに続く。



 時刻は地球で言う所の19時を回り、貸出申請が終わってユーノが資料のデータ化を行っていると、ポーンと言う着信音と共に通信ウィンドウが開いた。
「司書長。高町一等空尉がお見えになりました。」
「分かりました。すぐ向かうので待ってもらってください。」
「かしこまりました。」
手早くデータ化を終えるとユーノはヴィヴィオと手を繋いでなのはの元へ急いだ。
ちなみにデータ化というのは貸し出し用の小型機器に資料データをコピーする作業で、無限書庫内でしかデータの移動が出来ない様にセキュリティが掛かっている優れ物である。
そんな解説をしている間に二人が待合室に到着すると、中で待っていた女性が満面の笑みを浮かべた。
「ユーノ君、こんばんは。ヴィヴィオはいい子にしてたかな〜?」
「こんばんわ、なのは。何事もなく終わったみたいで良かったよ。」
「なのはママ〜、ヴィヴィオ今日も一杯お勉強したんだ〜。」
両手を大きく広げて話す愛娘を抱きかかえて頬ずりするなのは。
ユーノもそんなヴィヴィオの頭を軽く撫でながら今日の彼女の様子を端的に話す。
「…それに読書魔法はもう十分実践レベルに達していて、教える側としてはちょっと寂しいかな。」
「そうなんだ。凄いねヴィヴィオ〜、これでまた一歩夢に近づいたね。」
「えへへ〜♪」
大好きな二人に褒められてヴィヴィオはとても上機嫌に破顔する。
そんな彼女を見て、なのはとユーノも微笑みながらさらにヴィヴィオを褒めるという連鎖反応がしばらく続くモンだから時間がどんどん過ぎていく。
結局ヴィヴィオの【グ〜】というお腹の音が鳴るまで続いた。
「それじゃあヴィヴィオもお腹空いたみたいだしそろそろ帰るね。せっかくだしユーノ君も一緒に夕食食べない?」
「ユーノさんも来てくれるの!?」
「う〜ん、行きたいのは山々だけど「司書長、ご友人からのお誘いを断るのは野暮というものですよ。」…アインス?」
今日のために仕事の一部を後回しにしていたユーノはそのツケがずいぶんと溜まっている。
なので仕方がなく誘いを断ろうとしたら秘書のアインスが口を挟んできた。
「司書長。業務の方は私どもが引き受けますのでどうぞお三方で夕食に行ってください。」
「いや、そんな事したら君達に負担が掛かるんじゃ…。」
「今の無限書庫は司書長がおらずとも十分に機能します。それに司書長の印が必要な懸案は少ないですし、そちらは明日の分に回しておきました。何より私どもはいつも司書長に助けていただいていますので、その恩返しといった所です。」
「でも…。」
今回所々で登場した秘書さんはヴィヴィオの味方のようで、ユーノを帰宅させるために既に手を打っていたようだ。
先のお茶の件といい本当に仕事が出来る秘書である。
しかし、それでも決断しないユーノにしびれを切らしたアインスは【パチン】と指を鳴らす。
「え、ちょ、皆何を…!?」
「一体なんなの〜!?」
「きゃぁああ!?」
するとそこらじゅうの物陰から十人十色な私服に身を包んだ司書達が現れて3人を有無も言わさず書庫から強制退出させた。
「家族として初めてのお食事、どうか楽しんでいらしてくださいね。」
書庫から締め出された3人はなんだかんだで楽しそうに手を繋いでクラナガンのレストランへ向かった。
その後、食事中にフェイトが授けたイタズラを発動させたヴィヴィオと顔を真っ赤にして狼狽する二人がいたとか何とか。



「ねぇヴィヴィオ。なのはとユーノ、それからヴィヴィオの3人になった時に『ユーノパパ大好き』って言ってごらん。きっとヴィヴィオの気持ちが伝わるはずだから。」

〜終〜

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